学習の姿勢 授業で探求 全学教育「学問論」 他学部生と交流も
大学で学ぶ意義とは何か。大学の授業は、高校までの教育や専門学校などとはどのように違うのか。そもそも学問や科学とは何なのか―。今年度から新たに全学教育科目の一つとして開講した「学問論」は、全学部の1年生の必修科目。本学での学習にどのような姿勢で臨むべきかを探究する授業だ。
高校までの学習と大学での学習の比較や研究倫理の問題など、扱う内容はさまざま。複数の教員がリレー形式で担当する授業の中で、大学で学ぶ意義について思索する。
毎週の授業は、「講義回」と「演習回」が交互に実施される。「講義回」で学習した内容について、学生が課題に取り組む。課題を踏まえて、「演習回」では学生同士で対話や議論を行う。
「演習回」では、学生自身のアイデアや意見を、学生自身の口からアウトプット。コミュニケーションをとる中で、自分の主観にとらわれず批判的に物事を判断する姿勢をつくる。
「演習回」の大きな特徴は、話し合いを行うグループがそれぞれ違う学部のメンバーで構成されていること。馬塲さんも、「他の授業にはない」と強調し「いろいろな人と会えるのが楽しい」と魅力を語った。
「演習回」後には、ライティングに取り組む。ただ講義で学んだことを振り返るだけでなく、論文のような学術的文章を書くためのスキルを習得する意味も持つ。「東北大学レポート指南書」を教材に、論文や学問論以外の授業にも役立つ能力を身につける。
すべての初年次学生に同じ内容の学習を保証するこの新たな取り組みについて、講義を担当する教員の1人である本学高度教養教育・学生支援機構の佐藤智子准教授は二つの意義があると述べる。
一つは「時代に合わせていくこと」。「総合的な探究の時間」の導入のように、高校までで学ぶ内容や方向性も変化してきている。高校と大学の教育の接続を滑らかにするのが学問論の持つ役割だ。
もう一つは、大学初年次教育の刷新。「今後、分野横断的な探究がますます必要とされる」とした上で、「自分とは異なる専門分野にいる人間との交流が大切。学問論での経験が、これから学問に携わっていく学生の基礎になれば」と、学際的な交流を重視していく姿勢を見せた。
【注】全学教育科目
全学部の学生が東北大学生としての素養を習得するための科目の総称。学部1、2年生での履修が主だが、高年次学生のための科目も用意されている。